私は幼い頃から真面目な子供でした。厳格な両親のもとで育ったこともありますが、学校のルールにしても交通ルールにしても、決まり事は守らなくてはいけない、みたいな気持ちを強く持っています。
こういった性格によるものだと思うのですが、かなり周囲の子のことを気にしてしまうのです。
どういうことかと言うと、例えば朝は雨が降っていないけれども天気予報で午後から雨、という日があったとします。母は私に「傘を持っていきなさい」と言いますが、私は他の子たちが傘を持っているかどうかがすごく気になり、一度家の外に出て他の子がどれぐらいの割合で傘を持っているかを確かめてしまうのです。他にも、体育着で半袖を着るか長袖を着るかは気温などを考えて自分で決めればいいのに、周囲の子の様子を見て多数派の方を着る、みたいなこともありました。
これが性的な話とどう関係するかというと…
私は小学生の頃は発育が遅い子でした。小学生でも5年生ぐらいから発育のいい子は胸が目立ち始めます。また、太るという感じではなく、いい意味で肉づきがよくなって少しずつ大人っぽい雰囲気になります。
ところが、私はもともと華奢な骨格に加え、肉づきもよくなく貧相な感じでした。私は小学校に入ってからは一人でお風呂に入るようになり、一人なので自分の胸や股間などを毎日チェックしていました。が、4年生になっても5年生になっても体に肉がつく感じがなく、胸も全く変化がありません。
私は体育の着替えやプールの着替えの時に、こっそりと周囲の子の発育をチェックして自分と比較していました。クラスの女子で、どれぐらいの割合の子がブラをしているかとかをずっとチェックしていたのです。
自分の胸が大きくなって欲しい明確な希望があったわけではないのですが、さきほど書いたように周囲の子と比べて自分がどんどん遅れていくようで、そういう観点から焦りを感じていました。ただ、これは発育の問題なので、自分でどうすることもできず、それがさらに私をどうしていいかわからず混乱させるのです。
私は5年生の時にはまだ陰毛が生えていませんでした。
5年生の時には林間学校がありました。クラス単位でお風呂に入る時も、私は気づかれないように、さりげなく周囲の子の体をチェックします。体に変化が見え始める多感な時期で、誰もがタオルで胸と股間を隠すので、実際には他の子がどれぐらい発育しているのかよくわからないのですが、それでもふとした時に何とかわからないか、ちょっとでも確認できないか、何とか不自然でないように必死でチェックしていました。
また、私は内気でクラスの女子と活発に話すタイプではありませんでした。高学年になると、好きな男の子の話から、少し性的な話にも発展していきます。仲良しグループの中では、ブラをどうするとかそういう話をしている雰囲気があるのですが、私はそういった話の輪にも加われないので、情報を得られないままでした。周囲の子も、私が明らかに発育が遅いことは見ればわかるので、気を遣ってそういう話を振ってこなかったのかも知れません。
ある日、お風呂でいつものように鏡に股間を近づけて様子を見ていたら、一本、産毛が生えているのに気づきました。はじめは抜けた短い髪の毛がついているのかと思い、手で払ってみましたが取れません。鏡ではなく直接自分の目で見ていると、どうやらそれは股間から生えている毛ということがわかりました。
林間学校ではあれだけ他の子の陰毛の状況をチェックしていたのに、いざ自分に生えてみるとすごく驚きました。今まで何もなかったところに何かがあるというのは、よくわからないながらも許されないことのように思えました。
ただ、お風呂場ではその毛をどうすることもできないし、お風呂を出たら親の目もありなおさら普通に服を着て寝る準備をしなくてはいけないので、とりあえず次の日の夜に何かをしよう、と思いお風呂を出ました。
その日も、寝る前に「おまじない(=自慰)」をしたのですが、いつもはあまり雑念なく気持ちいいことに集中できるのに、この時はどうしてもあの毛が気になって気が散るような感じがしました。最終的には何とか気持ちがよくなり、満足して寝ることができたのですが、頭のどこかにちょっとモヤモヤが残ったままでした。
次の日、夜お風呂に入る時、私は親に見つからないように自分の部屋からハサミを持ち込みました。剃刀の使い方などもわからなかったので、とりあえずは毛を切ろうと思ったのです。皮膚をつまむようにして傷つけないように何とか毛を浮かし、なるべく根元からハサミで切ったらとりあえずほとんど目立たなくなりました。
まずはこれで一安心です。
私は再度、ばれないようにハサミを持ってお風呂を出、元の位置にハサミを戻しました。
陰毛が生え始めた時のショックの話が長くなってしまいましたが、他の子(人)の体が気になる、という性格はその後も続きます。これについてはまた後で書く機会があると思います。